「ここの戸建て買いたいんだけど、リフォーム済みだし・・・ちょっと見てくれる?」
こんな相談を、受けることがあります。
弊社の仕事の中でも、いわゆる「既存(中古)住宅購入前の調査・相談」は、仕事の一部とはいえ目的が大きな買い物ですから、相当に気をつかいます。また、消費税が上がっても一般的な不動産仲介の中古物件は非課税です。今後、相談も増えるでしょうから、注意していきたいものです。
「エリアもいいし、こんなに素敵なキッチンも入っているし、全体的にいい雰囲気だからどうかな?」
こんなお客様の、気に入っているオーラ…が…ビンビン伝わってくると、これまた真剣度が増します。ましてや、建物が今後どのくらい長く使えるか? 耐久性や耐震上に関して重要な部分に「おや? これ大丈夫かな?」なんて疑問を持つような物件の場合 はなおさらです。
弊社は住宅に対して建築側から携わることが多いのですが、不動産の資格や会社は宅建業の免許もありますので、不動産の価値的なものの見方もします。もちろん、相談を受けた物件を担当されている不動産屋さんの仲介などに、迷惑が掛るような事は礼儀として、決して行わないのですが・・・。
残念ながら「リフォーム済み」という表記で売られている物件で、建築的にみて、耐久性や耐震性など住宅の性能を落とすようなリフォームがしてある物件に出くわします。
中古物件を購入する場合、ここが大変に重要なポイントです。
購入予定の中古住宅に、末永く、安心して住みたいと考えるなら、居住エリアや金額も大切ですが、建物の見た目だけでなく築年数や構造、地盤から建物の履歴(今までに雨漏れなどないか? リフォームをしたか? など)程度は把握するよう意識していくことをお勧めします。
まあ、弊社のインスペクションを利用されるのも手です。 「選べるコースと費用について(C:相談のみコース)」
なぜなら、前もって知識のあるお客様であれば、こちらが「キッチンは素敵ですが、そのキッチンを入れるために、大切な柱や壁を抜いているようです。それは留意ください」と、疑問点に気がつき説明すれば、購入後に壁の補強工事が必要になる可能性に、気がついていただけるでしょう。
リフォーム済み物件で良いのは見た目だけで、見えない部分や構造体まで考慮する場合は少ないとお考えください。
これはリノベーション済み物件も、工事内容を示す資料(設備配管や劣化部位の更新についての工事中の写真、各種設計図書など)が不足している場合は、前述と同じレベルとお考えください。
戸建ては、リノベーションという表現された物件自体、少ないかも知れませんが、マンションの場合は「スケ ルトンからリノベーションしました!」という物件の下階に、購入後して住み始め数日で水漏れを起こした・・・なんていう笑えな い話も実際にあります。
いずれにしても肝心なのは「質」だと思います。工事の質だけでなく、中古物件自体の質、建築・不動産会社の質。または、購入しようとしているお客様自身の質かもしれません。住宅を手に入れるというのは、業者でもない限り通常、一生にそれほど何度もあることでは無いと思います。その機会に何を重視し、何を意識するのか? これらは価格と同じくらい、前もって心したい大切なことだと思います。
直近では先日も書きましたが、国をあげて中古住宅の「長期優良住宅化」を進めています。概略は・・・
目的:住宅の性能を向上させるリフォーム(省エネ改修、耐震改修など)
内容:
1)一定の要件を満たす既存住宅のインスペクションを実施するものであること。
2)定められた範囲に関する性能を向上させるリフォーム工事であり、工事後に一定の水準を満たすもの。
3)リフォーム履歴及び維持保全計画を作成すること。
でした。これに国費から助成する・・・という考えは、景気・経済対策もあるのは当然でしょうが、やはり「今までのリフォーム市場に対する見直し」も、根底にあるのだと思います。